サンドリア王国にあるドラギューユ城。
 栄華と暗黒が入り乱れるサンドリアの象徴であり王族の住まいである。
 一見豪華な造りで見た者の目を眩ませるが、先の戦争の名残である物がドラギューユ城
の地下にある。
 それはボストーニュ監獄、犯罪者・政治犯・謀反人など表舞台では決して裁かれること
のない罪人を投獄した監獄である。
 そのボストーニュ監獄の奥、そのさらに奥にいくと長い回廊があり、そして赤い扉にた
どりつく。
 その扉をあけると5歩ほど先にまた同じ扉が現れる。しかし1つ違うのは扉の前に監視
役とも思われる騎士が1人立っている。その騎士は全身を黒い鎧で身を包み、顔も例外な
くサリットで隠されている。
 2つめの扉を開けると誰もが眼を細めるだろう。それは今まで薄暗い監獄とは打って変わ
って、まるで外に出たのではないかと思うほど明るい部屋に出るからだ。
 その部屋は地下の施設とは思えないほど広く部屋の数も多い。その中で特に目を引くの
は本棚に敷き詰められた無数の本。しかもジャンルは幅広く剣術・魔法・政治・星座・兵
法等と堺がない。
 それともう1つが広大と言える広さの剣術修練施設である。そこには大小さまざまな剣
の他、魔法を使う際に媒体となる杖も無造作に転がっている。
 これらの物の持ち主はある1人の男性である。
 だが彼は生まれると同時にサンドリア王国の手によって地下に幽閉されることになる。
 彼もまた暗黒の歴史の犠牲者である。
 その訳は彼の両親にある。
 彼はタルタル男性とエルヴァーン女性のハーフなのである。
 今は他種族間の交流が盛んになり、研究もだいぶ進んできたが未だ究明されてない所も
多い。タルタルとエルヴァーンの間に生命が宿る確率は、同種族同士の6000分の1と言わ
れている。
 故にかれは格好の研究素材として生まれると同時にボストーニュ監獄に幽閉されること
になった。
 そして、彼は16年間もの歳月をボストーニュ監獄の一室ですごしている。
 彼の名前はウエバー。
 彼の名前であると同時に唯一、彼の母親から唯一貰ったものである。

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