11:00-11:34 クエンティン&ウエバー共通パート

11:34
「どうだ?気分は」
「ええ、だいぶ楽になりました」
 岩にもたれかかったウエバーが答える。
 先ほどミスラにかけられたバイオの効果も消え、体力もだいぶ回復した。
「しかし、追憶の戦器ったあ〜おっかないな。下手に戦闘不能になる訳にはいかないから
な」
「はい。僕は回復魔法が使えますし、マットからもハイポーション貰ったりしたから、な
んとかなったけど」
 ウエバーは立ち上がって、体に付いた土を払う。
 本来、バイオ程度でここまで慎重になることはない。
 しかし、追憶の戦器をもっていると話は全く別になることを、改めて実感することにな
った。
「さあ、追いかけましょう」
「ああ、まだそう遠くには行ってないはずだ」
 2人は、謎の両手鎌を持つミスラを追って走り始める。

11:42
 洞窟も上り坂にさしかかるにつれ、明るくなってくる。出口が近いようだ。
「マット、この島って何があるんですか?」
「あー、デルクフの塔にベヒーモスの住処。他にもタブナジアにつながる場所があるが、
たぶんお前さんは入れない。ミッションを進めないといけないからな」
「へえ、色々あるんですね」
「幸いクフィム島はいつだって人が多い。レベリングしている人にミスラを見かけなかっ
たかどうか聞いてみよう」
 洞窟が途切れ、外に出る。
 冷たい風が2人の顔に吹き付けられる。常冬の島、クフィム島だ。
「おお、これが雪ですか」
「そうか。雪を見るの初めてなんだな」
「雪の降る原理はわかるんですよ。本来、雨になるはずの水分が低い気温のため結晶化し
て降ってくるって」
「ははは、そんな化学の視点で雪をみたことはなかったな」
 ウエバーは、積もっている雪を手に取ってみる。思ったとおり冷たかった。
「とりあえず、先を急ごう。もっと雪を見たいなら今度ボスティンに連れて行ってやるよ」
「サンドリアよりさらに北部ですね。それは楽しみだ」
 拾った雪を捨て、2人はさらに走る。

11:56
 白い息を吐きながら、ウエバーとマットアラストはミスラを追う。
 しかし、依然ミスラを見つけることはできない。
 クフィム島のほぼ中心にある池を通り越し、デルクフの塔や、ベヒーモスの住処につな
がる洞窟がある広場に出る。
 ここに来るまでに、何度かレベリングしている冒険者にミスラを見なかったか聞いたが、
有力な情報は得られなかった。
「さて、この辺で目撃者をみつけないとな。いーかげん、どこにいったかわからん」
「そうですね……あ、あの人はどうでしょう」
 ウエバーは、通路の端でヒーリングしている冒険者を見つける。
「ああ、いいかもな。しばらくヒーリングしていたのなら、ミスラが通ったのを見ている
かもしれない」
 マットアラストが頷く。
 2人は、ヒーリングしている冒険者に近づく。
「あのー、すみません」
「……?はい?」
 冒険者はヒーリングから顔を上げる。
「いまさっき、ここをミスラが通りませんでしたか?かなり大きい、変わった両手鎌を持
っているんですけど」
「え!あの方とお知り合いなんですか?」
 冒険者は立ち上がる。
「さっき、エビに襲われているのを助けていただいたんです」
「え?助けて?」
「あの方に会ったら、お礼を伝えてください」
「あの、それでどこへ行ったか分かりませんか?」
 冒険者は少し考える。ウエバーはあまりの食いつきの良さに驚いている。
「ええ、あの方なら、あの白い塔に」
 冒険者が指を指す。
 ウエバーとマットアラストはその方向に顔を向ける。
「デルクフの塔だ」
 マットアラストが答える。
「わかりました。ありがとうございます」
「お礼、必ず伝えておいてください。お願いします」
 冒険者は、ヒーリングの姿勢に戻った。
「行先は分かったが、人助けか」
「みたいですね。悪い人ではないのかもしれませんね」
 ウエバーとマットアラストはデルクフの塔をみる。
 白い巨塔が不気味にたっている。

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